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EnJoe140

  1. 「茄子、闇に吠える。割り箸でできた脚ばかりが白く目立つ。後ろの二本で立ち上がり、ヘタを高速で回転させる。周囲を包む暗闇を遠ざけようとするように、輪郭を呑み込まれてしまわぬように、背中の何かを振り落とそうとするように猛り狂って跳ね回る。前脚二本がボキリと折れる」 #twnovel
  2. 「これまでのあらすじ。突然現れた鷹に連れ去られた主人公でしたが、ヒロインの放ったハート型の矢によってその爪間から助け出されたのでした。問題は鷹がヒロインに恋慕をはじめてしまったこと。なあ本当はあの矢で俺を狙ったんだと言ってくれ。主人公はヒロインを問いつめます」 #twnovel
  3. 「どうすれば地球は丸いってわかるのかって話になって、水平線が丸く見えるのは違うらしい。マストの先から見えて来るって言われても目が悪い。月が欠けるのは地球の影だから丸いって教わる。振り向くんだと思ってた。真っ黒い顔の半面が。だって新月はニヤリと赤く笑うのだもの」 #twnovel
  4. 「まー君、何折ってるのかな/ほかけぶね/ん。騙し舟のことかな/先生、ここ持って/帆掛け舟は四十八手のひとつだしね/こうしてるとおとうさん/まず、男の人が横になって/こうするとおかあさん/女の人がその上にまたがるんだよ/そんで、こうするとぼくになるの/ほんとだ」 #twnovel
  5. 「恋文を書いておくという寸法じゃな。定時に投函されるようになっとる。毎日きちんと先送りにしてやらんと、心の裡を知られてしまうという危険な技じゃ。トメさん。ワシはあんたのことを好いちょったが、違う国の間諜同士ではどうにもならん。さ。早く逃げんと追っ手がかかるぞ」 #twnovel
  6. 「あなたのいたこの地球から、お別れの挨拶を送ります。Russia. India. Pakistan. あなたのいるその場所からでも、この劫火は見えるでしょう。ここから先は気にしないで下さい。私にこれ以上の文字をきちんと並べることはできませんから。R.I.P.」 #twnovel
  7. 「甲都連撃隊のぴしりと打つ様、ひとつ。黒犀を打つ様、ふたつ。化け切るか変ずる種の切れるまで、続く限りに打ち据える。気相、液相、顔相、骨相、相と名のつく間のものへ、擦り上げ擦り下げ、胴抜き申し上げ奉る。縦隊の疾く駆け抜け軸をはずれて末尾へ戻り、ひとつ輪を描く」 #twnovel
  8. 「曲がり角から大きな女の顔が出て来て、これは女が大きいのでなく大きな顔が女である。胴体の方は見あたらない。半分がとこ出たあたりでこちらに気づき、瞼で礼を寄越すのである。顔は見知った女である。体の方は確かに知らない。電信柱につっかえており、回り道を余儀なくされる」 #twnovel
  9. 「エックスに何を入れようったって無駄だ。何も入れなくったって動くのだから。子供が入り込んだときの話はしない。ワイに出て来たものとかもうお仕舞いだ。ワイとの繋がり方だとか繋がってなんかいないわけだが、抜かれているのは人の頭蓋で、左右より入り右左から出て痕跡はない」 #twnovel
  10. 「水陸両用の蛙が何をしたか思い出せ。オタマジャクシを埋めていたろう。陸へとあがる練習なのだとたばかったろう。埋めたろう思い出せなかろう。地を揺らすのは我らであったと、ありもせぬ約束事が一塊となり、伸びる伸びる舌が伸びる、伸びきったのち裏を返してグエルグと鳴く」 #twnovel
  11. 「百人のオズワルドが死角なしにケネディを撃ち抜いて、銃声に振り向く顔は皆ケネディで、片っ端から撃ち倒されてあたりに中身をぶちまけていく。身を乗り出したジャクリーンが百人、夫の死体を無我夢中にかき集め出し、ケネディは完全に混ざってしまって、全てはもう台無しだ」 #twnovel
  12. 「黒板消しがお腹を下に着地して、もうもうと粉を吹き上げるのはなんだか可哀いと思うのだけど、余り賛同が得られない。精一杯頑張ったんだよと言ってはみるが、何の役に立つかと問い返されて答えにつまる。黒板を濡れ雑巾で拭くのもやめてあげてと、黒板消しを抱えた胸は真っ白だ」 #twnovel
  13. 「深夜だけれど、ラブレターを書きはじめます。深夜には書くなってあれ何なんだろうね。他に書く時間なんてないんだけど。なんかこう暴走するとかいうじゃない。全然違うこと書いちまうとか。暴走ってさ、何よ。それで発電でもしろって話で、うん、まあちょっとその辺走ってくるわ」 #twnovel
  14. 「自分の書いた小説を読んだ者は自殺したくなると信じていた人がいて、その小説のはじまりはそうした注意書きではじまっていたのだけれど、内容自体はパステル調の川と家と野原みたいな印象のもので最後まで読むこともなかったのだが、読み切ったらやっぱり死んだのかなと思い出す」 #twnovel
  15. 「帰宅をすると、碁盤に石を一つ置くのである。白黒交互に置くとは限らず、囲んだからとて取るでもないが、不意にごっそり除いたりする。何かの規則があるらしいが教えてくれない。ずらすと怒って元へと戻す。石の数個をピンク色に塗っておいたら、ポケットに入れて持ち歩いている」 #twnovel
  16. 「七つの卵から生まれたという。七人兄弟を示すと云い、七重の殻を次々と破ったと云い、七つと見えるが実は一つの卵から生まれたと云い、七つの徳を示すのだと云い、七つに分かれて生まれたと云う。そのいずれもが誤りである。空洞を囲む七つの殻を食い破ってそれは生まれた」 #twnovel
  17. 「部屋に天使が降りてくる。あなた好みの容姿だと思って頂いて良い。天使はしきりに、病院へ行こうとあなたに勧める。二人のことは全部それから。でも直ってしまったら、天使はいなくなってしまうのでは。その頃診察室の大鍋では、魔女があなたをぐつぐつ煮込んで味見をしている」 #twnovel
  18. 「閉園の時間がやってくる。地球最後の勤め人は檻の外の鍵に手を伸ばし、器用に錠を開けて外へ出る。鍵をそこらに放り出し、シャワーを浴びて服を着る。白骨の転がる檻の間をてくてく歩き、誰もいない入場口へたどりつくと振り返り、帽子を少し持ち上げて、動物園をあとにする」 #twnovel
  19. 「神のようなものだと言われているが、形は団子のようである。壊れたところを修繕しながら回るのである。いずれ全ては崩れるのだと、悪童たちが囃したてては石をぶつけて後をせきたて回るのである。くぐもる声は、お前たちがいるからだとも、お前たちがいる間だとも呟くという」 #twnovel
  20. 「兎マークの清涼飲料水発売イベントには、アルミ缶が真っ直ぐに積み上げられて林をなして、どの缶も金色に輝いている。バニーたちの配る缶の中には赤黒い液体が満たされており、たまに凝った塊を、果肉ですと兎たちはつくろい歩く。姫、姫という囁き声が会場へ徐々に広がっていく」 #twnovel