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EnJoe140
「小説の舞台にするには狭すぎて使い勝手が悪いので、新たに陸を置くところからはじめたい。日本の横に、同じ形の列島を置く。これを脅威と見なした全米図書協会はハワイを増産、一帯につき七二〇万ドルでアラスカの量産をロシアへ打診するに至る。日本は一か八かの勝負に出る──」 #twnovel9:51 AM Nov 19thfrom web
「冷たい夜には極微の土星人たちのことを考える。輪をなす岩に棲んでいる。遠く離れた太陽の見込み角がどれほどなのかを想像してみる。岩と岩との間の距離を思い浮かべる。一つの岩に土星人が一人棲んでおり、どうして互いに渡ったものだか、不死を呪って空を見上げる生き物である」 #twnovel1:54 PM Nov 18thfrom web
「見ていると、お襁褓がときどき膨れるのである。さてはと思って引きはがしても特に痕跡などは見当たらず、きゃっきゃと笑って喜んでいる。隣室から妻の声が聞こえることがたまにある。お義父さんと呼んでいるらしい。電話でもあったかと後で訊いても、不思議な顔をされるばかりだ」 #twnovel7:00 PM Nov 17thfrom Twit Delay
「麦藁帽子には麦藁帽子が良く似合う。片一方は人の名前で、もう片方は帽子の名前だ。どちらの麦藁帽子がどちらであってもきちんと似合う。ねえ森好、と麦藁帽子が問いかける。本当にこんな書き出しで、長編が書けると思っているの。やってみなけりゃわからないねと、少年は言う」 #twnovel8:00 AM Nov 17thfrom Twit Delay
「魂込め用意の号令ととも、兵隊たちは磨崖仏へ銃口を揃えるのです。この日の為に仏舎利から研ぎ出した弾、百と八弾、振り下ろされる腕を合図に、仏陀の頭と言わず脛と問わずに撃ち込みます。硝煙を割り進む仏足に踏み砕かれる兵隊たちの骨の音、有り難し有り難しと唱えるのです」 #twnovel9:00 PM Nov 16thfrom Twit Delay
「エレベーターの隅っこにこっそり椅子を置いておく。私の部屋にしようと思うのだ。荷物を持った人などにも便利に使ってもらえるだろう。皆が慣れたら次は机に挑戦する。部屋じゃなくって家にするかも。扉が開き、シャワーを浴びる私は振り返り、思うさま嬌声を響かせるだろう」 #twnovel10:01 AM Nov 16thfrom Twit Delay
「しりとりだと言う。単語を区切り、耳を澄ませる様子である。出鱈目に並べているようなのだが、その通りだと平気な顔を向けている。この世のどこかで何かを呟く者があり、それに続けばしりとりである。他の誰かが勝手に尻を攫っていくのでしりとりである。短絡を行うだけとも笑う」 #twnovel11:00 PM Nov 15thfrom Twit Delay
「強く爪を立てるのだ。血が出る程に。それより穴があく程に。直った頃にまた縋り、二の腕には窪みが四つ穿たれていく。裏にも一つ。理由を訊いても訊かなくともそうすることはわかっているので、止めようはない。湯治場で同じ傷をつけた者を見かける。目顔で問いかけ合うに留まる」 #twnovel11:58 AM Nov 15thfrom web
「ドアを開けると、ハッピーエンドが立っている。身なりがぱっとしないので思わずチェンジと告げかけるが、ドアに靴を挟まれる。はじめてから日が浅いのだが、出来る限りに頑張るつもりと宣言される。まあ良いかとチェーンをはずす。背後の廊下で何かを盛大にひっくり返す音が響く」 #twnovel12:56 PM Nov 12thfrom web
「火口へ続くエスカレータを設置した理由についてですか。それほど高速ではないのですから、その気になれば駆け戻れば良いだけのことです。下りのエスカレータが必要ないことは言うまでもないでしょう。火山の方でも気に入らなければ吐き出すのです。エンペドクレスのサンダルに対してそうしたように」10:00 PM Nov 11thfrom Twit Delay
「雨の中、人型に雨滴をはじく空間があり、電車が着くと二、三体は改札を抜け歩み出て来る。互いに相手を避け合うが、人と重なるのは構わぬらしい。たまにこれも透明な傘をさしている奴がある。小さな子などが走っていると、傘の下に庇護するのをたまに見かける。体の中にかくまうことは嫌いなようだ」11:33 AM Nov 11thfrom web
「9.11を御存じない。世界初の民主的手続きを経た社会主義国、チリで起こったクーデターのことなのだが。大統領は悲壮なラジオ放送を行った後、建築物ごと爆破された。サイバーシン計画についても? チリ全土を覆ったテレックスの通信網は、社会主義的妄想物と破壊の憂き目を見ることになる」11:26 AM Nov 11thfrom web
「二十六急死の報に俺たちはひっそりと集会を持つ。この九人が一度に顔を合わせるのははじめてのことだ。二十六の歳、時間移動の方法を発見した。以来、俺たちは二〇〇九年に暮らしている。年末にまた年始へ戻る。そんな暮らしがもう十年。まさか一番若い俺からいなくなるとは予想外だと三十六が言う」11:04 AM Nov 6thfrom web
「箱船の建設現場へピクニックへ行く。レジャーシートを敷きながら、起こるんだよねと連れ合いは言う。起こるんだよと返事をする。毎晩テレビでやってるみたいに。これといった相談もなく、お互い乗らないものだと決めつけている。傘を持ってくるんだったと連れ合いは言う。胎の中には子供がある」12:00 PM Nov 4thfrom Twit Delay
「ひょんなことから王様が裸の特異点であることを知ってしまったのです。口外すれば命はないと告げられます。言うなと言われて言いたくなります。どうしても我慢がならなくなった場合には、玉座へ侍して、王様へ向けて呟くのです。王様は裸の特異点。そうしていつしか、好き合うようになっていました」11:41 AM Nov 4thfrom web
「水星には二度太陽の昇る時期と場所があるという。軌道の楕円の程度が大きく、自転周期と公転周期が近いことから生ずるという。多分、昇って沈みまた昇り、それから暫く昼なのだ。きちんと考えればわかるはずだが、気が起こらない。罪と罰の話の中には二度太陽の昇る日があるともいう。気が向かない」12:00 AM Nov 4thfrom Twit Delay
「物心ついた頃には既に大きさと見かけの大きさを区別していたようだ。だから月を示されて兎を見つけられるわけがないと考えていた。それとも他の人々には、月面を跳ねる兎が見えたりするのか。兎が月の模様を指すと理解するには時間が要った。そのくせ、月の影の面でも自分には見えると信じていた」11:02 AM Nov 3rdfrom web
「池から丁度、目のところまで出ている顔は、一体誰のものであろうか。幸いにして、あぶくはぼこぼこ出ているのである。もっとも、ぶくぶく出続けて止まる様子は一向にない。苦しげな風はないのであって、瞬きなどをこちらへ寄越し、助けを呼んだか定まらない。これが水たまりであったとしたなら」12:06 PM Oct 30thfrom web
「絨毯に想い人の姿を織り込むと、新月の夜抜け出て来るとされていますが、どうしてその相手だと確認するかは、言うだけ野暮かも知れません。さてここに一人の間抜けな男があって、女もすなる絨毯織りというものをやってみようと考えました。結果が今の妻だと言います。ほつれがやはり目立ちます」4:00 PM Oct 23rdfrom Twit Delay
「今に至るも泥から生まれる人々だとされています。勿論そんな道理はないのです。ただ衣類が垢じみて、肌が若干黒味を帯びているにすぎません。泥の中で睦み合うとされたのも、たまたまそんな奇矯な者が族の中から出ただけなのです。周囲の者もその見聞を伝えた者もそんなことは百も承知の上なのです」5:00 AM Oct 23rdfrom Twit Delay